2024.11.03
スクールロイヤーって何ですか?
弁護士 横井 理人
「スクールロイヤーという言葉自体は聞いたことがあるけど、何をやってる人なのかはよく分からない…」、という方は多いと思います。それもそのはずで、実は「スクールロイヤー」に関してはこれを定めた法律等があるわけではなく、厳密な定義がありません。
最も参考になるのは日本弁護士連合会が2018年3月に発出した「『スクールロイヤー』の整備を求める意見書」です。その冒頭の意見の趣旨という部分に、「…学校で発生する様々な問題について、子どもの最善の利益を念頭に置きつつ、教育や福祉等の視点を取り入れながら、法的観点から継続的に学校に助言を行う弁護士(以下「スクールロイヤー」という。)」(※日本弁護士連合会ホームページより)という記載があります。
要約すると、「子どもの最善の利益」を念頭に「学校に助言を行う弁護士」といったところでしょうか。
助言の対象となる事項の範囲や助言以外にどういった活動ができるか等は個別の契約内容にもよるので、具体的にどのような制度設計を採用しているかは様々ですが、僕が知る限りでは全国的にも上記意見書を意識した内容のスクールロイヤー制度がほとんどです。
2024年9月現在、沖縄県内においても沖縄県教育委員会、南風原町教育委員会、豊見城市教育委員会、石垣市教育委員会、那覇市教育委員会、浦添市教育委員会、琉球大学附属小中学校において、スクールロイヤー制度が導入されています。
スクールロイヤー制度のポイントは、弁護士が学校や教育委員会に助言をするのですが、決して学校や学校設置者を守ることを目的とした制度ではないということです。
スクールロイヤーは、子どもの最善の利益を目的に助言をしますから、時には学校側にとって耳が痛い助言をする事も当然あります。「子どもの最善の利益」が目的であるという点は非常に重要で、この点について教育委員会や学校、さらには地域社会からの理解と信頼が得られなければ、スクールロイヤー制度はうまく機能しません。
全国的にも広がりを見せているスクールロイヤー制度ですが、これから事例の集積と改善を積み重ねて、制度を浸透させていく必要があります。